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「顎関節症のセルフチェック」原因と対策
顎関節症が急増中⁉
近年、顎関節に関する悩みを抱える方が増加しています。当院にも多くの方が顎関節症のご来院や問い合わせをいただいております。
顎関節症で来院中の歯科医師の方ともお話ししたのですが、その方のクリニックでも5年前と比較して30%程増えているようです。
食事や会話の際の痛みや違和感は、日常生活に大きなストレスをもたらします。本稿では、顎関節症の増加要因と自己チェック方法についてご説明します。
◆顎関節症増加の4つの要因
① 長時間のデスクワークとスマホ使用
デスクワーク時の前傾姿勢は、首や肩の緊張を引き起こします。特に、顔を下に向けることで、側頭筋や咬筋に強い負荷がかかります。
簡単なセルフチェック:口を開閉せずに奥歯の嚙みしめでチェック
口を閉じた状態で、耳の上に手のひらを当てて、奥歯を噛みしめたり緩めたりしてみてください。
筋肉の動きを感じ取ることがでるはずです。
驚くべきデータ:集中して考えたり、キーボードやマウス使用、画面の注視時
噛み合わせの力は約70kg、顎関節にかかる荷重は500〜1,000kgにも達します。奥歯を噛み締めた時に痛みや強い突っ張りを感じると顎関節に負担がかかっている可能性があります。
②嚙み合わせや歯並び
日本人は骨格上、歯並びが必ずしも良くないとされています。歯並びや噛み合わせが悪いと、適切に噛む面積が小さくなり、様々な問題を引き起こす可能性があります。
私自身も小学生高学年の時に受け口(反対咬合)があり、歯列矯正を始めました。中学生になり矯正が終了した後、担任歯科医師の勧めで歯型を採取し、奥歯に厚みを増したマウスピースを作成してラグビーに取り組んでいました。
近年、マウスピース矯正が増加傾向にあり、普及してきています。ワイヤー矯正と比較すると、歯科医師の介入頻度や時間が少ないため、歯列が改善しても歯ぎしりや違和感が生じることがあります。歯周病や虫歯のため、特定の箇所を避けて噛むケースも見られます。
当院には多くの医師や歯科医師が来院されており、初回時に「実は顎関節症があります」とご相談される方も少なくありません。
これは決して恥ずかしいことではなく、それほど多くの方が悩んでいるということです。マッサージやボトックス治療で顎関節症が軽減することもありますが、主に軽症の場合に効果的です。
モノを食べる時に前歯で噛めていない感じや、奥歯や耳の下に違和感が出れば注意が必要です。
③ 食事形態の変化
現代は昔と比べて軟らかい食べ物が増えたことが顎関節症の一因と言われています。しかし、それだけを理由にするつもりはありません。逆に硬いものを食べ過ぎても顎関節症を引き起こすケースが多々あります。
私が強調したいのは、「痛みがある状態で無理に大きなものや硬いものを食べないこと」です。具体的には、硬い肉、フランスパン、ナッツ、おかき、大きなおにぎりやハンバーガー、粘着性の高い食品は症状を悪化させる可能性があります。
幼少期から成人までの過程では咀嚼回数を多くし、食事を楽しむことが大切です。しかし、動画視聴や仕事をしながらの食事は咀嚼への意識が低下し、咀嚼回数が減少しがちです。健康的な生活のためには、意識的に咀嚼を心がけることが重要です。
④ストレス、睡眠と自律神経の乱れ
現代はストレス社会ですが、ストレスを完全になくすことは現実的ではありません。心配や怒り、緊張は側頭部から首や肩の筋肉に緊張をもたらします。
首の上部には自律神経の副交感神経が存在し、リラックスモードや筋肉の緩み、睡眠をコントロールしています。この自律神経のバランスが崩れると、睡眠の質が低下し、十分に眠っても疲れが取れない状態になります。
さらに、これらの症状は噛みしめや食いしばりを助長するため、顎関節と上部頸椎は密接に関連しています。とくに第1頸椎は顎関節のすぐ隣にあり、過緊張や食いしばりの影響を直接受けやすい部位です。
睡眠の質を改善するためには、以下のような工夫が効果的です。
- 入眠60分前は湯船に浸かる
- 7時間の睡眠を目指す
- 笑う
- 就寝前のスマホやタブレットの使用を控える
- ストレッチや深呼吸でリラックス
コロナ禍以降のマスク着用、噛み癖、睡眠姿勢なども顎関節に影響を与える要因となりますが、上記のポイントに注意することが重要です。
◆顎関節症のセルフチェック
日本顎関節学会が顎関節症の診断基準を示していますが、歯科医師をはじめ医療関係者向けのガイドラインになります。こちらでは簡単に行えるセルフチェックを当院独自の方法でお伝えします。(当院では診断行為等は行っておりません)
① 開口距離
口を開けた際、指3本が縦に入るかどうかを確認します。ただし、痛みを伴う場合は無理をせず、優しく行ってください。
②下あごや口角の横移動
口を開閉する際、口角や下あごが右または左に振れながら動くかどうかを観察します。
③動き出し時の違和感
口を開ける動作の開始時に、左右どちらかが先に動き、もう一方が遅れて動く感覚があるかどうかを確認します。耳の前部分に軽く指を当てると、その動きを感じられます。
代表的なパターンは以下の通りです。
- 開口時は片方が先に動き、閉口時は逆側が先に閉じる
- 開口時も閉口時も片方側が先に動く
動作中に、つっぱりや痛み、動かしにくさを感じるかどうかも重要なチェックポイントです。
④音(ノイズ)
顎関節の円板付近で発生する音に注目します。ただし、音そのものだけでなく、以下の点に注意が必要です。
- ノイズの種類
- 可動域
- 筋肉の緊張
- 左右の差
とくに重要なのは、ノイズ発生時に強い違和感や痛みがある場合です。そのような症状がある場合は、可動域制限を伴い縦の動きや噛む動作を行いにくくなります。
シャリシャリ、ジャリジャリは比較的軽度であることが多いです。外れるような感覚でカコン、ゴリッのような音と鋭い感覚がある場合は慢性的に強い負荷がかかっている傾向になります。
まとめ
以上が「私は顎関節症かも知れないかな」と感じた時のセルフチェックになります。1つでも当てはまる場合は歯科医師や専門家へご相談ください。
前述したようにマッサージ、マウスピース、ボトックス注射等で軽減すれば良いです。当院ではそれら以外のアプローチをお探しの方に、手技による顎関節の施術を行っております。