
院長:吉田お気軽にご相談ください!


あなたの背骨は、単なる“骨の柱”ではありません。
背骨の関節が本来の動きや位置を失うと、神経の働きに影響が及び、身体全体の不調に繋がることがあります。
この状態を、カイロプラクティックでは「サブラクセーション(Subluxation)」と呼びます。
例えば、車のタイヤの空気圧が適切でないとハンドルが重くなり偏摩耗を起こすように、背骨でも“関節のずれや動きの乱れ”が放置されると、神経・姿勢・回復力に少しずつ影響が出てくるのです。
本ページでは、サブラクセーションとは何か、なぜ起こるのか、どんな影響があるのか、そして当院がどのように検査・ケアを行っているかを、分かりやすくご紹介します。自分自身の背骨と神経の状態を、「ただ我慢するだけの毎日」から「自分の身体を感じながら動き続けられる毎日」へと変えていきましょう。


国際カイロプラクティック協会(ICA)は、サブラクセーションを次のように定義しています。
「サブラクセーションとは、脊椎運動分節の正常な位置や機能からの可逆的または予防可能な変化であり、有害な神経生理学的活動を伴い、全身の健康と関連する状態である」
難しい言葉が並んでいますが簡単に言えば「背骨の関節が本来の動きを失い、その結果、神経の働きに支障が出ている状態」です。
この状態が続くと、痛みや不調として現れるだけでなく、身体の自己治癒力そのものが妨げられることもあります。
背骨は、私たちの身体を支えるだけでなく、神経の通り道という非常に重要な役割を担っています。
このように、脊椎は神経の幹線道路を支える“動くガードレール”といっても過言ではありません。
関節の動きが失われると、この神経の通り道に物理的・化学的ストレスがかかり、神経伝達が乱れることでさまざまな症状や機能低下が生じます。これが、カイロプラクティックがサブラクセーションに注目する理由です。


サブラクセーションは、日常生活の中で繰り返される“小さな負担の積み重ね”から生じます。
一度の大きな外傷だけでなく、長時間の同じ姿勢や浅い呼吸、ストレス、睡眠不足なども、背骨や神経のバランスを少しずつ乱していきます。
こうした影響が重なることで、関節の動きに偏りが生じ、神経の情報伝達が乱れ、体の反応が変わってしまうのです。
🔸 局所レベルで起こる変化
背骨の関節が動かなくなると、関節内にある「動きを感じ取るセンサー(機械受容器)」からの情報が減り、反対に「痛みを感知するセンサー(侵害受容器)」が過剰に反応するようになります。
その結果、脳は“正確でない情報”を受け取り、身体の動きや感覚の制御がうまくいかなくなります。
このような状態が続くと、筋肉は常に緊張し、関節の動きはさらに制限されるという悪循環が起こります。
🔸 中枢神経レベルでの影響
動きの偏りが長く続くと、「中枢感作」と呼ばれる現象が起こります。
これは、脊髄や脳が刺激に対して過敏になり、本来であれば痛みを感じない程度の刺激にも反応してしまう状態です。
このように神経が敏感になると、痛みが広がって感じられたり、姿勢や筋肉のバランスが崩れて疲れやすくなったりします。つまり、背骨の動きの問題が、神経システム全体の“過剰反応”へとつながっていくのです。
🔸 自律神経への影響
さらに、サブラクセーションは交感神経と副交感神経のバランスにも影響します。
特に、背骨周囲の関節や神経が過剰に刺激されると、交感神経が優位になりやすく、体は常に「戦う・緊張する」状態に傾きます。
その結果、血流や内臓の働き、睡眠、免疫、ホルモンバランスなど、生命を維持する基本的な機能にも乱れが生じることがあります。肩や腰のこりだけでなく、「なんとなく体調が整わない」「休んでも疲れが抜けない」といった状態も、この神経バランスの乱れが関係しているケースが多く見られます。
サブラクセーションは、その部位や影響を受ける神経の働きによって、体にさまざまな形で現れます。
最も多いのは、首や肩、腰などの痛みやこわばりです。関節の動きが制限されることで筋肉の緊張が強まり、動かしにくさや張り感を感じるようになります。さらに、神経の通り道に刺激や圧迫が生じると、頭痛や手足のしびれ、感覚の鈍さ、力が入りにくいといった神経的な症状として現れることもあります。
こうした症状は、最初は“軽い違和感”として始まることが多く、「寝違えた」「肩こりがひどい」といった一時的な問題と思われがちです。
しかし、サブラクセーションが長期間続くと、筋肉や関節のバランスが崩れ、全身の動きにまで影響が広がります。その結果、慢性的な痛みや姿勢の乱れ、疲労感、集中力の低下など、日常生活の質そのものに変化が現れてくるのです。
また、背骨の状態は自律神経とも密接に関係しており、消化や呼吸、睡眠、血流などのリズムにも影響を及ぼすことがあります。たとえば、胸椎や頸椎まわりのサブラクセーションがあると、呼吸が浅くなったり、緊張が抜けにくくなったりする場合があります。腰椎や骨盤に問題がある場合は、便秘や冷え、下肢のだるさといった内臓・循環系の変化として現れることもあります。
このようにサブラクセーションは、単に「痛みの原因」ではなく、神経の働きを通じて“体全体のバランス”に影響を与える現象です。だからこそ、症状のある部分だけを見るのではなく、神経の流れと背骨の機能を包括的に評価することが大切になります。
― 神経機能を回復させる“精密な刺激” ―
アジャストメントとは、背骨や骨盤などの関節に対して、正確で安全な刺激を加えることで神経の働きを回復させる施術のことです。
目的は「骨を動かすこと」ではなく、神経の流れを整え、身体が本来持つ自己回復力(イネイト・インテリジェンス)を引き出すことにあります。
関節が本来の可動性を失い、神経の情報伝達に乱れが生じている状態では、筋肉や内臓の働きもアンバランスになります。アジャストメントでは、その制限が起きているポイントを正確に見極め、わずかな力で動きを回復させます。この刺激は脳や脊髄への神経入力(アファーレント・インプット)を整え、身体全体の協調性やバランスを取り戻すきっかけとなります。
一般的に「ボキッ」と音が鳴ることに注目されることがありますが、これは関節内の圧力変化による気泡の破裂音であり、骨がズレて戻る音ではありません。音の有無にかかわらず、重要なのは神経が正しく働ける状態をつくることです。
アジャストメントを受けた直後には、呼吸が深くなったり、視界が明るく感じられたり、体の重心が安定した感覚を持たれる方も多くいらっしゃいます。これは、神経の働きが整い、体がより自然な状態に戻ろうとしているサインです。
私たちは、初回から無闇に施術を行うことはありません。まずは問診・検査・姿勢評価を行い、神経機能と身体構造の状態を正確に把握します。
得られたデータをもとに、施術の可否と優先順位を判断し、あなたにとって最適なアプローチとケアプラン(施術計画やアドバイス)をご提案します。


カイロプラクティックは、現在世界46カ国で法制化され、WHO(世界保健機関)も正式に承認しています。残念ながら日本においては、医療としての位置づけではありません。
薬や手術に頼らず、神経と身体の自然な治癒力を高める手当てとして、エビデンスに基づくヘルスケアとしても高く評価されています。
日本においても我々D.C.(ドクター・オブ・カイロプラクティック)達でガイドラインを作成したり、情報発信をしていく必要があります。
サブラクセーションとは、単なる「骨のずれ」ではなく、背骨と神経の機能が正しく働かなくなっている状態を指します。
カイロプラクティックの目的は、症状を一時的に取り除くことではありません。神経の働きを回復させ、身体が自ら整おうとする力を取り戻すことです。